水面の色を模索しています。滝の奥に異なる色相の18色の色彩を考えています。当時の飛鳥の人たちが大陸から渡って来た見たこともない鮮やかな色彩に驚嘆している感覚を掴もうと約2年かけ色を選びました。問題は水面の色です。
水面をオレンジ色に考え、塗ってみますがあまりにも主張の強い色なので、他の色彩の存在感を弱めてしまいます。ほぼあらゆる色を当てはめて検討してきました。オレンジ色だけで10種類の色見本を作りましたが、暗くすると茶色に近づき、水面には適しません。
制作は困難を極めています。デスクの上はほぼ私の頭の中と同じです。考えられるすべての鮮やかなオレンジを検討しています。
結局水面のオレンジは断念して、滝の奥の濃い赤をやめて、オレンジを画面中央に持ってきました。水面は上を引き立てるように暗めのサングリエにしました。この色は日本にはなかった色です。
メトロポリタン美術館の日本ギャラリーに来ています。土曜日ということもあって多くの熱心なファンでとても混雑していました。海外にいることのもっとも大きなメリットは、日本美術を他の文化と比較して見ることができることです。私は常にこの文脈の最先端であろうとしてきました。
今回メトロポリタン美術館に来た1つの目的はジャコメッティをエジプト神殿の中に展示している空間を見るためです。常に美術史の中の過去の人類の至宝と比較されるのが芸術家の宿命です。ジャコメッティは堂々とこの巨大な石のモニュメントと対峙していました。私もこのようにありたいと思います。
